dog ear 4 『昭和史七つの謎』 保坂正康
2005年 10月 26日
筆者は、「天皇は神だとか日本は世界に冠たる国だとか東亜の解放のために戦っている、などという客観性のない、誰が見てもおかしいと思う時代をつくってしまったのか」そんな問題意識から、2・26事件を<文化大革命>として読み解く。ふと日本人は北朝鮮のマスゲームを笑えるのだろうかという疑問がわく。
僕にとっては、「真珠湾奇襲攻撃で、なぜ上陸作戦をおこなわなったか?」、「なぜ陸軍の軍人だけが、東京裁判で絞首刑になったか?」という疑問から派生する検証は考えもしなかったことだ。「東日本社会主義人民共和国は、誕生しえたか?」という問いは初耳ではなかったが、日本人捕虜をめぐるソ連、日本の思惑は想像を超えるものであった。
巻末の原武史氏との対談「昭和天皇の『謎』」も、マッカーサとの会談の読み方、皇居前広場の意味、戦後の天皇の生き方など、実に興味深い。
疑問から歴史を検証することの面白さ、大切さを改めて教えてくれる本である。なんでもかんでも単純化して断定するような歴史観が力を持ち始めている今だからこそ、貴重な書といえる。
(講談社文庫)
僕にとっては、「真珠湾奇襲攻撃で、なぜ上陸作戦をおこなわなったか?」、「なぜ陸軍の軍人だけが、東京裁判で絞首刑になったか?」という疑問から派生する検証は考えもしなかったことだ。「東日本社会主義人民共和国は、誕生しえたか?」という問いは初耳ではなかったが、日本人捕虜をめぐるソ連、日本の思惑は想像を超えるものであった。
巻末の原武史氏との対談「昭和天皇の『謎』」も、マッカーサとの会談の読み方、皇居前広場の意味、戦後の天皇の生き方など、実に興味深い。
疑問から歴史を検証することの面白さ、大切さを改めて教えてくれる本である。なんでもかんでも単純化して断定するような歴史観が力を持ち始めている今だからこそ、貴重な書といえる。
(講談社文庫)
by mihira-ryosei
| 2005-10-26 22:32
| 本