オギヨディオラは韓国の舟漕ぎの掛け声。1958年生まれのオヤジが趣味という数々の島々をたゆたいながら人生の黄昏に向かっていく


by mihira-ryosei
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イチローはなぜ敬遠されなかったのか

 寒い寒い午後、ギターケースを背負いながら、サングラスをかけて、練習にむかう。まさか、このようなオヤジがiPodでチャットモンチーを喜んで聴いていようとは、道行く人は想像もできまい、ははは、などと変な自意識にまみれている男は、ただひとつのことについて考えをめぐらせていた。

 「なぜイムチャンヨンはイチローを敬遠しなかったのか?」
 まったく今回のWBCは、日韓対決シリーズといえる様相であった。決勝までいけば、5試合にはなるだろうといっていたのが、本当になった。
 決勝戦。延長10回表、2死1、3塁、打者イチロー、投手イムチャンヨン。まずこの場面から疑問がある。1塁ランナー岩村はなぜ、盗塁したのかである。盗塁に成功すれば、2,3塁(まあそうなったわけだが・・・)、1塁が空けば当然、韓国側がイチローを敬遠して満塁策をとることは予測できたはず。つまり、日本ベンチはこの日3安打のイチローに託してなにがなんでも勝負!とせず、次の中島でもいいやと考えていたことになる。もし、韓国が満塁策をとり、日本を抑えることに成功していたら、岩村の盗塁意図は少し問われたかもしれない。
 ところが韓国は意外にも敬遠しなかった。イチローより中島が怖かったのか。そうではないだろう。韓国ベンチの指示は、ボールになる球で勝負し、手を出さなければ歩かせるというもの。この指示がベンチから捕手、捕手から投手・イムチャンヨンに伝わらなかったということになっている。このことは、今でも韓国の野球ファンにおいては大きな話題になっている。ただし、もしこの類いのことが日本側にあったら、つまり、10回裏、たとえば同じようなピンチで、ダルビッシュがキムテギュンを敬遠せずヒットを打たれサヨナラ負けでも喫していたら、原監督はただではすまないだろう。ところが韓国のキムインシク監督は、さほど酷い目にはあってはいない。

 男は家を出る前に、問題のイチロー対イムチャンヨンの対決をビデオで注意深く分析していた。確かにベンチの指示は、ボールになる球を投げるよう要求していた。それは捕手の構え方でわかる。ところが、気合い満点のイチローは歩かされてたまるかといわんばかり、ボール球にも手を出していた。彼はストライクゾーンを超越したバッティングを決意していたのではないか。そこがイチローなのだ。だからこそ、岩村の盗塁には、ん?と思ったはずだ。それでも気持が折れなかったところがイチローでもある。他方、イムチャンヨン、力が入りすぎか、捕手の構えたところになかなかいかない。最後に打たれた球は、ど真ん中の変化球、明らかな失投である。イムチャンヨンは、サインを知らなかったといいつつ、勝負したかったというようなコメントも残しており、微妙である。

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 僕の考えは、ボール球にもスイングしてくるイチローの勝負姿勢に挑発され、しかもファウルでカウントも追い込んでいたので、イムチャンヨンの持前の気の強さに火がついてしまったのだと考える。
 もうひとつ。たとえばあの場面で打者がイチローではなく村田だったら、ためらわず敬遠したのではないかとも思うのである。つまりイチローだから逃げたくなかった。「ベンチのサインは敬遠だけど、逃げはしないわ」と歌ったピンクのサウスポーのように。 なぜイチローと勝負しなければならなかったのか。
それはイチローの韓国に対する発言である。「韓国は日本に30年は追いつけない」、「韓国に負けるのは最大の屈辱」発言が、背景にあったからだと考える。イチローは、無意識に韓国人の尻尾を踏んでしまっていたのだ。このことがイチローを敬遠して勝っても悔いが残るという心理をイムチャンヨンに生んだのではないか。悔いが残るとすれば、自慢の高速ストレートではなく、失投の変化球を打たれたことだろう。 敬遠しなかったことが、韓国で大きな非難を受けていないのも同様にとらえることができるだろう。

 今回、韓国の中で、日本への敗戦を冷静に受け止める意見がでているのは注目に値する。日本では、高校野球にすら、NHKが放送し、観客も多数押し寄せる。プロ野球も多数の観客を集め、ドーム球場(僕はいいとはおもわないが)をはじめとして、設備も充実している。他方韓国は、高校に野球部があるのはわずか50校(日本は4000校)、全国大会は放送もされず、球場はがらがらである。プロ野球も観客の入りは悪い。だから設備は悪いままで、選手の給料も日本と比べても格段に低い。この状況を改善しなければ本当に日本には追いつけないというのである。僕も韓国でプロ野球を見たことがあるが、閑古鳥の観客席、美しいとはいえない球場でおこなわれる野球の質も高いとは思わない。
 韓国も、上から20人の選手を選べば、日本とは遜色がないかもしれないが、上から100人になると格段に水準が落ちるのではないか。韓国の監督が言ったように、確かに日本には代表チームと同じレベルのチームをさらに3つも4つもつくれる選手層の厚さがある。

 韓国野球を強くする最高の方法は、野球ファンが球場に足を運ぶことだ。たくさん野球にお金を使うこと、そうすれば選手の年棒も上がり、ソウルあたりではドーム球場もできるだろう。いっそ韓国料理に酒場も球場に置いたらどうか。毎夜酒にお金をつぎ込んでいる連中が来てくれるだろう。
 ただし、荒れるだろうな~。
 
 チャットモンチーを聴きながら、そんなことを考えていた。
by mihira-ryosei | 2009-03-28 23:08 | スポーツ