オギヨディオラは韓国の舟漕ぎの掛け声。1958年生まれのオヤジが趣味という数々の島々をたゆたいながら人生の黄昏に向かっていく


by mihira-ryosei
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時間が流れる、そして不変ということ 天丼の話

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 店の名前は、「天丼の店」。それではわからないので、「坂町の天丼」と付け加えている。大阪、千日前にある店である。僕が中学校のとき、従弟に連れて来てもらって知った。もうかれこれ、三十五、六年前になる。その後通っていた高校が、大阪・玉造にあったので、学校帰りの土曜日などよく行った。当時、220円だったと思う。同級生と英単語の問題を出し合って、負けたほうがおごるというルールをつくり、必ず勝った。
 店はカウンターだけで、5,6人も入れば満席。入口に一番近いところで、目のギロッとしたオジイが天ぷらを揚げていた。となりによく似た息子さん、そのとなりにその奥さんらしきおばさんがいて、三人で、香り高いほうじ茶を出す、ご飯や赤だしをお椀によそう、天ぷらを揚げる、盛り付けるという作業を寡黙にこなしていた。
 なによりおいしかった。そして高校生でも手の出る値段だった。

 最近、なつかしくなって行ってみた。値段が変わっていた。あたりまえである。店に入ると、目のギロッとした息子さんがオジイになって天ぷらを揚げていた。となりによく似た息子さんとお母さん、つまりオジイの奥さん、三人がやはり、天丼と赤だしをつくっていた。確かに顔ぶれは変わっていたが、本質的にはなにも変わっていない。何十年と、行列のできる人気店なのに、店を拡張するわけでもなく、チェーン店もつくらない。
 
 時間はたっぷり流れていた。でも坂町の天丼は不変であり続けていた。
 
 店をあとにするとき、僕は心の中で、精一杯、ありがとうと叫んだ。

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by mihira-ryosei | 2009-11-14 01:32 | うまいもの 韓国京都以外