オギヨディオラは韓国の舟漕ぎの掛け声。1958年生まれのオヤジが趣味という数々の島々をたゆたいながら人生の黄昏に向かっていく


by mihira-ryosei
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dog ear 6 中編 『清張さんと司馬さん』 半藤一利

 この一年間、松本清張が気になっている。昨年の秋、出張の帰りに小倉の松本清張記念館に立ち寄った。2回目である。ここに来ると、「知の巨人」の魂に触れる気がする。そして励まされる。その売店で買って帰った本が、『西海道談綺』である。全4巻そろわなかったので、Amazonで古本を注文した。年末、アフリカ・ケニアへの旅行の際、往復の機内で一気に読破してしまった。

 「金山や修験者にもまつわる歴史的にも興味深い話をふんだんに盛り込んだこの小説には、特別の愛情があります。が、そんな個人的な思い入れなくしても、この長編は波瀾万丈、雄大なスケールをもった珍しい伝奇小説です。そのへんは昔の『富士に立つ影』(白井喬二)や『「鳴門秘帖』(吉川英治)に比肩します。いや、それ以上か。昔の小説にはない清張さんの卓越した推理力と、確かな史眼があるから、面白さは滅法無類といえます。しかも愉快なのは、篇中で辞典や論文を引用して修験道についての説明を清張さんはしておりますが、それらは全部作り事というじゃありませんか。「エッ?大口真神大明神も犬神宗族も全部ウソッ!」「そうさね、作り事にはたっぷりと教養性をもたせなくては、いい作品とはいえない。作者としては一番力が入るところでね」と、ほんとうに嬉しそうに清張さんは笑います。だまされたと思って一度お読みください。」

 本当に大傑作であると思う。大分に住む知人から、大分を舞台にした凄い小説だと勧められたことがあったのだが、「失われたアーク」なんてぶっ飛ぶぐらい面白い活劇なのである。
 
 それから、今年は、古代の奈良飛鳥とペルシャを結ぶ『火の路』も面白く読んだ。ややうんちくを傾けすぎではあるが、ここにも嘘が巧みに入っているのだろうか。
 そして、「宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短編コレクション」。この本が宮部みゆきを見つめなおすきっかけにもなり、『蒲生邸事件』、『火車』」、『日暮し』と今年は立て続けに読んだ。
 松本清張という作家の存在がますます大きくなった今年であった。
by mihira-ryosei | 2005-12-13 23:55 |