オギヨディオラは韓国の舟漕ぎの掛け声。1958年生まれのオヤジが趣味という数々の島々をたゆたいながら人生の黄昏に向かっていく


by mihira-ryosei
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

dog ear 7 『下山事件 最後の証言』 柴田哲孝 祥伝社

e0065380_20183877.jpg
 もし自分の大好きなおじいちゃんが、恐るべき事件に関係していたら・・・。この本はそういう筆者が肉親の疑惑を究明するというものである。ただの事件ではない。下山事件である。下山事件とは、昭和24年7月5日、国鉄の下山総裁が行方不明になり、線路で轢断死体となって発見された謎の事件である。松本清張はじめたくさんの人たちがこの史上最大のミステリーに挑んできた。たんなる殺人事件ではない。敗戦直後の日本の暗部を背景にしている。巨大な贈収賄事件、国鉄の民営化、アメリカのアジア戦略などの黒い霧に総理大臣はじめの政権中枢、右翼勢力、労働組合など左翼勢力、アメリカ占領軍、朝鮮人、ソ連などさまざまな地下水脈が絡んでいる。しかも、大陸浪人、特務機関、731部隊、満州鉄道など日本の「アジアを蹂躙した戦前」を生きてきた人の影も交錯している。
下山事件というフィルターを通してみれば、吉田茂も佐藤栄作も、ダンディぶりがもてはやされている白州次郎も、まったく違う表情を見せてくれる。
 筆者は肉親の疑惑に勇気をふるってメスをいれ、膨大すぎる証言に分け入って、真実を明らかにしようとする。

 靖国神社をはじめ歴史認識問題をめぐり、中国、韓国との外交関係は最悪の状態である。「もう60年も前のことではないか」、「いつまであやまり続ければいいのか」、そんな苛立ちが、政治家のみならず市民レベルでも生まれている。しかし、自分たちは本当に戦前のこと、現在の日本という国の骨格をつくった敗戦直後のことをどれだけ知っているのだろうか。うんちくとかトリビアとかじゃなくて、本当に知らなければならないこと、直視しなければならないことをどれだけ知っているのか。そんなことを思い知らされる本である。
 つまりこの本は筆者の祖父の話ではない、自分たちの国の生い立ちの話なのだ。
 
by mihira-ryosei | 2006-01-09 20:22 |